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2008年12月08日

黒澤映画 その7

「影武者」を見ました。
ストーリーは良く出来ていて面白いのですが、やはり史実としてのラストが読めてしまい、最後どうなるかわからないというドキドキ感だとか衝撃性・インパクトがあまり味わえませんでした。残念ながら黒澤監督の他の時代物と比べてしまうと少し見劣りしているような気がします。
それでも戦闘シーンは他作品同様に素晴らしい出来です。
影武者が最初に出陣した戦いでの長い暗闇での戦闘シーン、遠景から逆光で撮影されている軍隊の影、風林火山の旗印、とても美しく感じられました。
歴史的な長篠の戦いの「武田が誇る騎馬隊vs新法・鉄砲三段撃ち」も見事に描写されていました。
 
普通、敵将は醜く描くのが定石ですが、この作品では逆に信長・家康が妙に格好良く描かれています。一方で、バレたらさっさと手のひらを返して城から追放し、石まで投げつけるという酷い武田家。この対比がとても面白い。
一度しか会っていない信玄に傾倒し、信玄の亡き後も影武者を見事に務め、冷たく追い出されて盗人と武士との身分の差を思い知らされるも、なお忠義を尽くして殉死する…この瞬間、盗人といえども身分の差を乗り越えて武田家の武士と同じ魂として死にゆくこと、光栄に思えたことでしょう。
信玄の遺体は川に流して埋葬されましたが、ラストシーン、影武者が川に流されながら見た風林火山の旗は、あの世で彼を迎え入れようとしている信玄の懐への門のようでとても印象的でした。

posted by スパイダーウーマン at 15:00 | Comment(9) | えさをキャッチ!
この記事へのコメント
セットの城が炎に包まれるシーンしか頭に残ってないです。仲代達矢が呆然と門から出てくる姿は、妖怪ダノハゼ将軍かと思っちまいました。
現代は、武田家の仕打ちみたいな社会構造ですね。本体を守るために骨格となって働いてきた人々をいとも容易く切り捨てる。なんとかならんもんですかね。今まで切り捨てられるのは、中高年だったのに現代じゃ若年層の切捨てが激しいようですね。元を辿れば、その若年層がギラギラとした欲望や情熱を持たず、日々流された結果のような気もするが、今年も、なんとか餅代を支給できたのでよかったと感じてるが、来年は、存在しているか非常に切羽詰っている状況。良い映画を見て、しばし心を休めたいと思います。
Posted by やっ at 2008年12月10日 16:54
やっさん
その炎シーンは本命の「乱」の方ですね、だからこの作品はあまり頭に残らない映画なんです。他の作品に比べるとコレといった特徴がなくて。笑
若年層の切捨てといえば内定取り消しの話、学生は本当にショックでしょうね。
でも捨てる神あれば拾う神あり、まだ若いからどうにでもなるでしょう。ギラギラとした野心も、そのうち芽生えるかもしれませんしね。
Posted by スパイダーウーマン at 2008年12月10日 18:58
乱でしたか。そうすと、やっぱ、スパさんの言うように何も残ってないですね。というか、観た事すら忘れてしまってる。それとも観てないか。勝新太郎が自前のビデオを回していて黒澤監督の逆鱗に触れ降板した映画ですよね。もう一回、きちんと観てみましょう。最近、暇なもので。
Posted by やっ at 2008年12月10日 20:10
やっさん
そうそう、喧嘩して降板という映画です。勝新太郎さん版で観たかったという人が多いのは、やはりどこか物足りなさがあるからでしょうね。
きちんと観たい映画といえば、邦画から離れますが私は今月20日公開予定の「アラビアのロレンス<完全版>」を狙っています!
あの超大作がテアトルタイムズスクエアの大スクリーンで観られるという贅沢、しかも完全版だから227分ですよ♪
Posted by スパイダーウーマン at 2008年12月10日 22:19
アラビアのロレンス、そんなに長時間上映なんですね。定かでない記憶では、水曜ロードショー(古い!)で見たかな。金曜ローショーになってからだったかな。それとも、日曜洋画劇場?。

長編というと東京裁判という無駄に長いドキュメンタリー映画を観た事があります。ただ惰性で観切ったという感じですね。邦画の場合だとセットとか写し方は全然関係なく、ストリーだけで見入ってしまいますが、洋画だと撮り方がうまいというか、映画ならではの遠近感を出してくれてるので意匠設計の参考になりますね。本当は、世界を歩き回って、その土地の冷たさ温もりと建築の関係を知ればよいのでしょうが、そうも出来ないので映画は、それを補う手っ取り早い方法ですね。

最近観たのは、私は貝になりたい。そして、これから観ようと思ってるのは、レッドクリフ。そして、楽しみにしている映画は、キューバの英雄、チェ・ゲバラの信念を描いたチェ28歳の革命と39歳別れの手紙の2部作。

チェというと、I love koreaの韓国人スター、チェ・ジュウの映画も良かった。連理の枝は、ラストシーンが切なくて、決してハッピーエンドじゃないのだが、とても気持ちが落ち着いて、人の優しさに泣いて、はかなさ脆さに泣いて。

映画って、たとえばチンピラのヤッチャンでも、偏差値90以上の優秀大学の教授でも、旦那にヘッドロックをくらわす鬼嫁でも、中学生のボンでも、感じ方は違っても、同じ場所で同じ時間に涙や笑いを共有できるってすごい事だと思いませんか?

あぁー映画って本当に良いもんですね。
Posted by やっ at 2008年12月11日 10:41
やっさん
アラビアのロレンス、私も見たのは子どもの頃ですが、おそらく完全版ではないはず…ロケのために砂漠に水を引いて町を作ったというから、壮大なスケールです。

東京裁判は277分もあるんですね!ドキュメンタリー映画は好きですが、yahoo!映画のレビューが7件しかなかったので、みんな長いから見ようとしないのか、きっと途中で挫折する人が多いのでしょう…。

映画は意匠の参考になりますか?それは面白いですね。
大学の頃「映画は総合芸術だ」という趣旨の講義がありましたが、映画と建築を歴史的に比較してみると面白い論文が書けそう。やはり両者の橋渡しはアートでしょうか、映画⇔アート⇔建築。

私は貝になりたい、予告編では中居くんの演技力が随分上がったように感じましたが、如何でしたか?

レッドクリフは何部作になるんですか?例の講義の影響でアジア映画を好んで見た時期があったのですが、そういえばレスリー・チャンが自殺して以来、ほとんど見ていません(><)だからトニー・レオンは恋する惑星やブエノスアイレス以来ご無沙汰の浦島花子さん状態。冬ソナも見ていないのでチェ・ジウもよくわからず…。

ベトナム映画も良いですよ、青いパパイヤの香りとか、見るだけで心がきれいになるよう。アジアとフランスの融合ですから、美しくないわけが無い!

あぁー映画って本当に良いもんですね。
Posted by スパイダーウーマン at 2008年12月11日 13:43
そうそう、フランスといえばシェルブールの雨傘もお正月に特集上映があって、子どもの頃ビデオで繰り返し見た映画なので、これも見なければと思っているところです♪
戦争で引き裂かれたふたり、諦めて別の人と結婚してしまい…ガソリンスタンドで再会してしまうシーン、切なすぎて忘れられません(TT)

映画談議はなかなか止まりませんね*^−^*
Posted by スパイダーウーマン at 2008年12月11日 13:57
Oh! シェルブールの雨傘ですね。既婚男からするとゾッとしてしまう。配偶者が昔、好き合っていた男と将来を語り合ったときに未来に子供が生まれたらこの名前をつけよう。なんていう事で決めた名前をつけられたら、ちょっぴりどころじゃなくて非常に悲しい。けど、そんな事も全部ひっくるめて結婚というものをするのだから別にかまわないような気もするが。

シェルブールの雨傘は、リアルタイムで私の父母の世代の恋愛物語ですが、うちのジィーさん、バァーさんからは、あのような物語は生まれない。若い頃の話を聞くと、蟹工船そのものなんですから。ジィー様は黒部の太陽と言い張ってますが、どう考えても土木作業員、発破技師として山奥の飯場で子育てまでするような今、語っても信じられない事実。

無理やりこじつけると、西洋版、寛一お宮の映画みたいだが、ギーは寛一のように恋に縛られなかった男の中の男って感じ?
Posted by やっ at 2008年12月12日 16:10
やっさん
そこで金色夜叉ですか、似ているところもありますね。
お金が絡むというのも面白い要素で、貧乏から抜け出すために結婚という選択肢が目の前にあったら…。
それにしても不倫は不道徳という世の中なのに、なぜこの手の話は美しく語られるのでしょうね、不思議です。
現代では逆に恋に縛られない女性の方が目立ちますね、スカーレット・オハラタイプの強い女性。
Posted by スパイダーウーマン at 2008年12月15日 11:59
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